2015/03/26
言葉の、「不気味の谷」を越えよう
こんにちは。
伝達力向上トレーナーの、ビーユアセルフ岩下宏一です。
「不気味の谷」という言葉があります。
人間を模したロボットやCGに対して、人のかたちに近づくほど人間は好感を持つ。
ところが、一定のラインを超えて似れば似るほど、今度は、リアルな人間との差異が目につき、突如違和感や嫌悪感を覚える、関心が薄れる、というもの。
そっくりなのに汗をかかない。目や口の動きがぎこちない。肌にひとつのシミもない。そこが気になり、何とも言えない気持ちになる。
話し言葉にも、不気味の谷に近いものは存在すると思っています。
事前にきっちりと準備して、構成や論理はきちんと整えられているメッセージ。
しかしながら、話し手が、聞き手をちゃんと意識して、その場で言葉を生成しながら話していないと、聞き手の心には届きません。
聞き手は、どこか、そらぞらしさを覚えて、ただ聞き流すだけになる。
あるいは、違和感が先に立ち、どうも懐疑的な気持ちになってしまう。
人間は、そういった違和感には、まことに敏感です。
言葉にも、汗やシミ、匂いが必要なのです。
生きた人間が、生きた言葉を話して、初めて通じるのです。
それは、作為によるものではない。
その場で相手と本当の交流をしようという意識によって生まれる、どこか泥臭く、生々しいもの。
それがとても大事だと思うのです。
私が、「会話するようにスピーチをしましょう」と言っている理由のひとつは、そこにあります。
僕らは、今この瞬間を、ともに、泥臭く生きているのです。
コメントを残す